ノルウェーでの撮影の最終日となるこの日、私たちはこのエリアでも有名なトレイルのひとつで、かつては郵便配達用の道路として使われていた’ 「デン・トロンニェムスケ・ポストヴァイ(トロンハイム郵便道路)」を撮影の舞台に選びました。これは、ベルゲンとトロンハイムを結ぶ全長700kmにもおよぶコースで、この地域の郵便配達網整備の一環として1785年に開通されました。最初はなだらかな砂利道だったものが、やがて美しく古びた狭い蛇行路へと変わり、そしてそれが峠へと続いていきます。脚力と技術さえあれば、自転車に乗ったまま山頂まで到達することも可能なのです。頂上へと至る最後のセクションは高原の台地のようになっていて、有名なガイランゲルフィヨルドと、その湾内を航行するクルーズ船の姿まで見下ろすことができます。まさに息を呑むような最高の絶景!
ここで、恐れを知らないチームリーダーにしてフォトグラファーのマティアスは、最後の下りはカメラなしで、と宣言します。5日間にわたって厳しい撮影をこなしてきたライダーたちは、もちろん全員’大喜び。 さあ、競走のスタートです。チームメンバーはみんな満面の笑顔で、コーナリングを決めたり、見事なターンを刻んだり、インサイドからパスしたりと、思い思いにテクニックを披露。まるでウィニングランのように、みんな歓喜の叫び声を上げながら斜面を駆け下りていきました。